和歌山市内の9つのロータリークラブは26日午後、インターシティミーティング「語り継ごう〜紀州魂〜」を和歌山市手平(てびら)の県民交流プラザ 和歌山ビッグ愛の1階大ホールで開催、私も参加してきました。
和歌山市内のロータリークラブによるインターシティミーティングは、これまで会員のみの大会でしたが、今回のテーマが、1890年(明治23年)に和歌山県串本町沖で遭難したトルコの軍艦エルトゥールル号をきっかけにした日本とトルコの友好関係の話で、「無償で人を助ける紀州魂」を広く県民の方にも知ってもらおうと、初めて一般の方の参加も呼びかけ約200人が参加しました。
(開会のあいさつをするホストクラブ和歌山城南ロータリークラブの中芝康順会長)
大会は、午後1時15分に開会、ホストクラブの和歌山城南ロータリークラブの中芝康順(なかしば・やすより)会長が「エルトゥールル号をきっかけにした日本とトルコの友好の絆の話は、和歌山県民が意外と知らない。素晴らしい先人の精神、DNAをきっちりと語り継いでいこう」とあいさつ。午後1時半から田嶋勝正(たしま・かつまさ)・串本町長が「日本・トルコ友好の礎(いしずえ)〜先人の偉業を後世に伝えるために〜」と題して映像や写真を使いながら約50分基調講演しました。
(「日本・トルコ友好の礎(いしずえ)〜先人の偉業を後世に伝えるために〜」と題して基調講演する田嶋勝正・串本町長)
「エルトゥールル号事件」は、1890年9月16日の夜、トルコの軍艦「エルトゥールル号」が、串本町樫野埼(かしのざき)沖で、台風による強風と高波により座礁して水没し、587人が亡くなりました。
その際、当時の大島村の住民が懸命の救助にあたり、69人の命が救われました。現在、串本町樫野崎灯台そばには慰霊碑とトルコ記念館が建っています。また、町と在日本トルコ大使館の共催による慰霊祭も5年ごとに行われており、こうした友好の歴史が1985年のイラン・イラク戦争の際、イランのテヘラン空港に取り残された216名もの日本人をトルコ航空機が救出するという出来事につながるなど、両国の絆を強くするきっかけとなりました。
田嶋(たしま)町長は、13年前に地元のお寺無量寺の開かずの金庫を開けたところ、地元の医師3人が治療にあたったトルコ人の診断書とともにトルコ政府から治療費などを請求するよう求めた文書に対して、そんなお金はいりません。遭難した人に渡してほしいととした返事の写しが出てきて感動したエピソードを紹介。「串本町のじいやん、ばあやんの無償の行為を誇りに思います。ただ絆は黙っていて生まれるものではありません。イラン・イラク戦争のトルコ政府の行動でクローズアップされるまであまり地元でも有名でなかったのです。歴史は語り継いでいかないと消えていきます」と語りました。
また一方で「たまたま串本で遭難が起こったが、明治のこの時代日本のどこで起こっても、日本人は串本町民と同じ行動をとったのではないでしょうか。日本人には、こうした素晴らしいDNAがあるのですが、現代の日本には、教育の問題もあるのでしょうか、十分発揮出来ていないのは残念」とも述べました。
さらに、今春の高校の英語の教科書に8ページにわたってエルトゥールル号の話が掲載されることや、日本とトルコの合作映画として今年秋にもクランクイン予定の映画については「およそ6億円の製作費が必要だが、トルコでは3億がすぐ集まるのですが、日本側はまだ7千万円です」と話し、支援を呼びかました。